漫才「真綿で首を締める」
「真綿で首を絞められるって表現あるじゃないですか」
「じわじわと苦しめられることの例えですね。」
「あれの新しい例えを考えてきたので、使えるかどうかの判定してもらってもいいですか?」
「いいですよ。世間の皆さんが使いやすいかどうか、公正にジャッジしますので」
「ありがとうございます。では、早速、真綿で首を締められるの新しい表現は」
「なんでしょう」
「ヘチマが毎日送られてくる!!です」
「…ヘチマが毎日送られてくる?」
「そうヘチマが毎日送られてくるの」
「ああ、そんなに料理のレパートリーない食材を毎日送られたら、楽しみにしている3食のごはんが、「あのヘチマ、どう処理しようかな…」という思考に占領されて楽しめ無くなり、ちょっとずつ食事が億劫になって餓死する!!」
「そう!よくわかりましたね!」
「すごいな。これは新しく採用してもいいですね」
「では、真綿で首を締められるの新しい表現は、ヘチマが毎日送られてくるですね!皆さん、ぜひ使ってくださいね」
「………君か~。俺の家に毎日ヘチマ送ってくるのは~」
「…」
「道理で俺の物分かり良すぎるなぁと思ったんだよ。俺んち、毎日ヘチマ来てるのよ」
「…」
「配達伝票の内容物にはさ、「小学校の授業で育てはするが食わんやつ」って。」
「…」
「滅多に自炊しない一人暮らしの男にヘチマは捌ききれんよ」
「…」
「コンビニ弁当選んでいるときにも、ヘチマが脳内でチラつくのよ」
「…」
「クックパッドで調べたよ。ヘチマ料理」
「…」
「輪切りにしてオリーブで炒める。以上。飽きるわ」
「…」
「あと、ヘチマ絶妙に栄養素とか致死量分からんから積極的に食えないのよ」
「…」
「捨てりゃいいじゃねえかって?ごみの分別表に書いてねえもん。ヘチマ」
「…」
「あと怖いだろ。近所で袋パンパンのヘチマを集積所に持ってくる人」
「…」
「お陰様で冷蔵庫がパンパンです。ついに、麦茶の横に、縦で置くようになりました。ヘチマを」
「…」
「これは君のちょっとした良心なんでしょうけど、着払いにしてないのは助かってます」(握手)
「…」
「君はどういうつもりでヘチマ送ってるんだ!?」
「…私のところに送り付けられるヘチマをどうにかして処理するために、[ツッコミ]に送り付けてました!すいません!!」
「…え、被害者なの?」
「被害者でもあり、加害者でもある。二刀流です。」
「ヘチマ送り付け業界の大谷翔平ですね」
「実は、クックパッドにヘチマ料理の投稿したの、私なんです」
「頼むからもっと投稿してくれ!!」
「あれ以外はヘチマを主役にしてあげれないんです!!」
「それもそうか!!しかし、この世に、ヘチマを送り付ける輩がいるということが分かったのはデカい!どうにかして犯人を探しだそう!!」
「犯人はうちの母なんです!!」
「ええ!?」
「仕送りで送り付けられるんです!!」
「逆に母はどこからヘチマ仕入れているの!?」
「趣味でヘチマの家庭菜園始めたらのめり込んじゃって、大量生産を始めちゃって、今ではセンターピボット方式でヘチマを作っているんです」
「センターピボット方式で!?アメリカの大農場の手法でヘチマを!?」
「もうそこまで投資されたら止めろとも言えないじゃないですか」
「確かに。でも、お母さん、息子にせめてヘチマのおすすめの消費方法だけでも教えてくれればいいのに」
「輪切りでごま油炒め以外教えてくれないんです」
「輪切りで炒めるが現状の最適解なのかよ!!せめてもの抵抗でごま油をオリーブに変えてたんだな!」
「いや、実はオリーブも毎日送り付けられていて…」
「ええ!?!?」
「うちの父が趣味でオリーブの木を育て始めて」
「おいおい…」
「たまたま買ったオリーブの木が、屋久杉と同期の激古木でして」
「樹齢数千年のオリーブの木!?樹齢数千年のオリーブの木だと!?」
「馬鹿みたいに実るらしくて…送ってもいいですか」
「いいわけないだろ、もういいよ」